「ビッグデータから読み取る健康格差とその対策~特定健診ナショナル・データから読み取れること~」 (2013年5月1日)

☆ 健康あれ・これ 第123回
  「 ビッグデータから読み取る健康格差とその対策 
         ~特定健診ナショナル・データから読み取れること~ 」
          あいち健康の森健康科学総合センター長
                あいち介護予防支援センター長      津下 一代

○平均寿命は長野がトップ、青森がワーストでその開きは男性3.60年、女性1.84年。
○自立した生活が営める健康寿命の第一位は男性が愛知、女性は静岡。
○入院患者の割合が高いのは高知・鹿児島・長崎、外来患者では香川・佐賀・長崎。
○人工透析患者の割合が高いのは熊本・宮崎・徳島。高齢化率がほぼ同程度の新潟県と宮崎県を比較すると透析患者
 割合は1.5倍も異なる(人口10万 人対新潟202人、宮崎318人)。
○後期高齢者医療費が高いのは福岡・高知・北海道、低いのは岩手・新潟・静岡。福岡県では一人当たり医療費110万
 円に対し、新潟県72万円、長野県74万円と1.5倍。
○介護保険では、65歳~74歳の前期高齢者で介護保険利用者が多いのは大阪・和歌山・徳島。この年代の要介護理
 由は、男性の半数以上、女性の1/3を脳血管疾患が占める。

 これらのランキングから何を読み取り、対策につなげることができるのでしょうか。
 超高齢社会に突入しているわが国にとって、医療や介護給付費の増加は避けられない事実のように思われますが、自
治体間差が大きいことから、解決への糸口を見つけだせる可能性があります。

 今回とくにご紹介したいのは、特定健診受診者2,245万人のデータ分析結果です。最近、厚生労働省より都道府県
別に各検査の平均値と異常者数が公表されました。この結果をもとに、私たちの研究班では年齢調整を行って都道府
県比較を試みました注:。年齢調整をおこなうと、全国同じ年齢構成として比較できることから、高齢化率進行度の違いに
よるデータの偏りを除外して健康状態の比較ができます。
 その結果、高血圧(収縮期血圧140mmHg 以上)は和歌山・愛媛・長崎で多く、糖尿病(空腹時血糖126mg/dl以
上)が多いのが愛媛・高知・香川。中性脂肪(150mg/dl以上)は岩手・沖縄・香川。HDLコレステロール(善玉)が低い
(40mg/dl未満)男性が多いのが香川・宮城・徳島。腹囲が85cm以上の男性が多いのは沖縄・宮城・徳島・和歌山・
香川の順、90cm以上の女性が多いのは沖縄・大分・宮崎・宮城・鹿児島の順。
 特定健診データを総合してみると、各検査値のワースト5にランクインする県として四国・九州の各県、和歌山が多く、
ベスト5には長野、新潟、静岡、岐阜、福井が多く入っています。これらの特定健診データランキングは、国民健康栄養
調査の「野菜の摂取量が多い」「喫煙率が低い」県のランキングとも関連がありそうです。

 ただ、今回の結果は、あくまでも健診受診者におけるデータであることに注意が必要です。健診受診者と比較すると未
受診者のほうが健康管理に関心が低く、データが不良である傾向が指摘されています。都市部勤労世代では東京、愛
知と比較して、大阪、福岡の健診受診率が低いことから、生活習慣病への対応が遅れ、前期高齢者の医療費や要介護
者の増加に影響している可能性も考えられます。

 今後の対策として、このような結果を行政関係者のみならず、一般の方々や医療・介護サービス提供者に広く知ってい
ただくことが重要と考えます。愛知県内においても市町村格差がいろいろな局面で見られます。社会保障費をできるだけ
増やさず、幸福な超高齢社会を築くためにどんなことが必要か、考え行動していくことが求められるでしょう。
個人としては、生活習慣病にならないように若いうちから健康づくりに取り組むことや定期的に健診を受診して早めの対
策を考えることが、当たり前のようですが、もっとも基本といえるのではないでしょうか。

注:今回のデータを冊子としてまとめました。詳しくは
厚生労働科学研究 (平成24年度、研究代表者 津下一代):健康日本21(第二次)地方計画推進のために地方自治
体による効果的な健康施策展開のための既存データ(特定健診データ等)活用の手引き  
http://www.ahv.pref.aichi.jp/www/contents/1001000000860/simple/tebiki_2.pdf