「身体活動を増やすために必要なこと」(2013年9月16日)

☆ 健康あれ・これ 第132回
  「 身体活動を増やすために必要なこと 」
            健康科学総合センター健康開発部長 村本 あき子

 去る9月7日、あいち健康プラザにおいて第32回臨床運動療法研究会が開かれました。津下一代センター長が大会長をつとめ、「運動療法を継続するためのネットワーク構築を目指して」をテーマとして、医療機関、スポーツ医学分野、民間スポーツ施設、健康増進施設、行政の健康づくり部門等から参加があり、活発な討議が行われました。

 国立健康・栄養研究所の宮地元彦先生からは、今年3月に厚生労働省健康局より発表された「健康づくりのための身体活動(注:)基準2013」と「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」の概要と活用について講演がありました。
 この基準・指針の中では、生活習慣病予防や、骨や関節・筋肉が衰えて要介護や寝たきり状態につながる「ロコモティブシンドローム」予防のために、「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」というメッセージが発信されています。
 
 それでは、身体活動を増やそう、と考えた場合に実施が難しいのはどんな場面でしょうか。シンポジウムでは、高齢者や健康状態に不安のある人も安心して身体を動かすために何が必要か、ということを議論しました。

 まず、医療機関における治療・リハビリを終えて患者さんが地域に帰るとき、健康増進施設や民間スポーツジムのどんな情報を得られたら、安心して運動を継続できるかということについて、「運動施設ごとに、どの程度の健康状態まで受け入れ可能かわかるとよい」、「運動設備の内容に加えて、どんな人材(医師、保健師、看護師、理学療法士、健康運動指導士、管理栄養士等)がいるのかわかれば安心して紹介できる」といった意見が出されました。

 続いて、地域の運動施設・スポーツジム側からは、「個々に合った運動内容を、医療側から具体的に提供してほしい」、「利用者の安全管理について共通理解があるとよい」といった意見がありました。

 また、神奈川県藤沢市民を対象とした検討から、「余暇時間のウォーキング」には「近隣の景観が良いこと」や「運動実施者を見かけること」が、「移動時の歩行」には「自宅近くにスーパーや商店があること」、「歩道が整備されていること」がプラスに働くことが報告されました。すなわち、私たちは自分を取り巻く環境から身体活動が活発になるかどうかの影響を受けている、ということになります。

 高齢化が進むわが国では、医療機関や運動施設、行政がそれぞれ取り組んでいるだけでは国民全体の身体活動を増やすという課題解決にはならず、各々の得意分野を活かしつつ、お互いに積極的に情報を発信して連携を強めること、健康部門だけでなく、他部門も一緒に環境整備を行うことが必要であるとの思いを新たにしました。

注: 「身体活動」は「生活活動」と「運動」に分けられます。このうち、生活活動とは、日常生活における労働、家事、通勤・通学
    などの身体活動を指し、運動とはスポーツ等の、特に体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施し、継続性の
    ある身体活動を指します。