「健康長寿を支える社会づくり~食生活」(2014年1月2日)

☆ 健康あれ・これ 第139回
  「 健康長寿を支える社会づくり~食生活 」
          あいち健康の森健康科学総合センター長
                あいち介護予防支援センター長      津下 一代

 2014年が幕開けしました。今年もみなさまの健康で充実した生活の応援ができるよう、センターあげて取り組んでまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 当センターはプラザの教室や運動施設等を通して一人ひとりへの健康づくりのお手伝いをしていますが、実はそれだけでなく、県内すべての市町村に対して健康政策を支援する役割を担っています。「健康日本21あいち新計画」推進拠点として、10年後も健康長寿県であり続けるために、毎日ように職員が市町村に出向いて健康づくり支援をしています。

 ところで、厚生労働省の主導する「健康日本21」では、10数年前より「健康寿命の延伸」を最上位の目標に掲げて生活習慣病対策に取り組んできましたが、昨年、この目標は厚生労働行政の枠を超えて、政府の「日本再興戦略」に盛り込まれることになりました。
 高齢になっても健康で生き生きとした生活を営める社会は「国家の強み」であり、健康寿命を延伸することは「戦略的に可能である」と認識されるようになりました。確かにメタボ対策や運動の普及で糖尿病予備群が減少し始めるなど、明るい兆しが見えています。
 今後は医療や健診・健康づくりの啓発などの狭い分野だけではなく、健康的な生活を支える環境づくりなど、省庁横断的な取組みが進められることになりそうです。

 たとえば食生活。日本人は世界一の長寿国ですから、和食を主体とした食生活は理想に近いものと考えられています。
 昨年末、ユネスコ文化遺産に登録されましたが、1.多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重、2.栄養バランスに優れた健康的な食生活、3.自然の美しさや季節の移ろいの表現、4.正月などの年中行事との密接な関わり、の4つの特徴をアピールした結果といいます。
 日本人が長寿であることや、肥満者が国際的にみて少ないことなどが、和食の魅力を後押ししたといえるでしょう。

 しかし、私たちがいつも理想的な食生活ができるかといえば、なかなか難しいのが現実です。食糧費支出に関する調査結果(東京学芸大学 大竹美登里氏)によると、二人以上の家庭では食糧費に占める食材の割合が56%であるのに対し、単身世帯では35%にとどまっていました。とくに34歳までの男性単身世帯では、外食費が57%、お惣菜が15%、飲料・菓子類が17%であり、食材費が11%にとどまるという結果でした。外食は一般的にいって味付けが濃く、油が多い傾向があります。せっかく日本に住んでいながら、健康的な食生活とはいえない可能性が高いのです。
 一方、タニタ食堂は、1.定食スタイル、2.一食500kcal程度、3.ごはんは軽めに1杯、4.野菜はたっぷり1食150~250g、5.塩分は1食3gと薄味、6.余分な油・脂肪はカット、7.野菜は大き目にカットし咀嚼力アップ、8.測って盛り付け、9.旬の食材、情報提供、を基本的なコンセプトとして食を提供しています。これなら毎日食べてもメタボになることなく、かえって健康的な食生活が外食中心でも可能です。

 健康的な食事を提供する飲食店の悩みは、新鮮な野菜類を使うと食材費が高くなること。せっかくメニューを準備しても高くて食べてもらえないのでは、意欲が薄れてしまいます。
 今後は流通面の改善等で食材費を抑え、健康的な食生活を安価に提供できる仕組みを整えていくこと、少し高くても健康に良い食事を選ぶ消費者が増えていくことの両面が、健康長寿日本のカギを握るのではないでしょうか。