「今年こそ、運動を!~サルコぺニア研究から考える~」(2014年1月16日)

☆ 健康あれ・これ 第140回
  「 今年こそ、運動を!~サルコぺニア研究から考える~ 」
           健康科学総合センター健康開発部長 村本 あき子

 以前この欄でご紹介したサルコぺニア(sarcopenia:筋肉減少症)の研究は、現在進行中ですが、これまでにわかったことを報告したいと思います(e‐news 2013年4月16日号をご参照ください)。

 サルコぺニアの診断には、「筋肉量の低下」と「筋肉機能の低下」の両方の存在を用いることが推奨されていて、筋肉量の評価には主に二重エネルギーX線吸収測定法あるいは生体インピーダンス解析による測定が用いられています。

 あいち健康プラザでは、「基本チェックリスト」の回答結果からサルコぺニアの可能性があると考えられた方にお越しいただき、二重エネルギーX線吸収測
定法による筋肉量測定を含むメディカルチェックの後、運動プログラムを実施、体力がどう変化するかを調べています。
 「基本チェックリスト」とは、25問から成り、65歳以上を対象に生活機能を評価することを目的として用いられる質問票です。

 今回、この質問票のうち「階段を、手すりや壁をつたってのぼる」あるいは「椅子に座った状態から立ち上がる時、何かにつかまる」に該当、それに加えて「この半年間で2~3kgの体重減少があった」あるいは「BMI(body mass index:体格指数)22.0kg/m2未満(注1)」にあてはまると、高い確率でサルコぺニアあるいはサルコぺニア予備群に該当することがわかりました。 ここで、サルコぺニアあるいはサルコぺニア予備群に該当するかどうかは、骨格筋指数{四肢筋量(kg)÷身長(m)÷身長(m)}から、サルコぺニア参照値(注2)を用いて判定しています。

 すなわち、階段をのぼる、あるいは立ち上がるといった時に困難を感じたり、やせ型で、特に最近体重が減っている(おそらく筋肉量が減っていることを反映)と、要注意・・・ということになります。

 運動プログラムでは、今のところ軽い筋肉トレーニングを中心に行っていますが、スタートから3か月間で既に、開眼片足立ちの持続時間が延び、椅子立ち上がり時間(注3)が短縮するといった体力の向上効果が得られています。

 サルコぺニアが気になる方は、今年こそ身体を動かす時間を生活の中に取り入れませんか。

注1: 基本チェックリストでは、BMI18.5kg/m2未満の場合「運動器の機能低下を示す1項目に該当」と扱いますが、今回の我々の検討では22.0kg/m2未満の方を対象としています。
注2: 真田らの報告(体力科学59:291-302、2010)。
注3: 立った姿勢から椅子に座り、再び立つという動作を連続して10往復し、要した秒数を測る測定法で、時間が短いほど体力があると判定します。