「健康長寿を支える地域づくり~各自治体の取組みが加速する」(2014年3月1日)

☆ 健康あれ・これ 第143回
  「 健康長寿を支える地域づくり~各自治体の取組みが加速する 」
          あいち健康の森健康科学総合センター長
                あいち介護予防支援センター長      津下 一代

 2月の予期せぬ大雪では対応の遅れが問題となった一方、地域の支え合いや被災した方々どうしの助け合いのニュースが飛び込んできました。一人暮らしのお年寄りが増えてきた社会で、普段の生活をどう支えるのか、緊急事態はどう対応するのか、自分事として考えていく必要がありそうです。

 介護保険制度が生まれて14年。安心して高齢期を過ごすことができるように、市町村ごとに保険料を集め、必要な人にサービスを提供する制度が定着してきました。
 制度開始当初は全国で3.6兆円だった給付費も、昨年度は9.4兆円に増加。それに伴い保険料(基準額)全国平均も2,911円から4,972円と高くなってきました。10年後には8,200円程度まで高くなることが予測されています。
 一方、介護認定率、保険料の市町村格差も次第に大きくなってきました。認定率が高齢者の10%程度にとどまっている市町村もあれば、その2倍になっているところもあります。当然、認定率が低い地域では保険料は安く維持できています。逆に、介護保険サービスに依存しすぎると、どんどん保険料が膨れ上がってしまうというわけです。

 介護保険法の第1章第4条には
〇国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、
〇加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に健康の保持増進に努めること
〇要介護状態になった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有 する能力の維持向上に努めるものとする。
と、一人ひとりの自助努力が介護保険制度の根本にあることを、忘れてはならないと思います。介護予防活動がきっかけとなって、地域住民の主体的な活動がどんどん広がっている地域では、介護保険料も低く抑えられる傾向にあります。

 これから重要となるのが「地域包括ケアシステム」の構築です。高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」について一体的に提供できる地域のしくみづくりが始まります。
 地域はそれぞれ、人口構造や習慣、医療機関や施設等の状況も異なることから、それぞれの地域に合ったしくみを作っていくことが重要です。その中で行政は重要な役割を果たしますが、行政任せにするのではなく、地域住民がお互いに力を発揮して「できることをやっていく」ことも必要です。たとえば、健康づくりボランティアが住民に身近なサロンで体操教室を開いたり、ゴミだし支援や認知症高齢者の見守り活動を始めたNPOなどが活躍されています。

 普段からこのような地域のつながりが強ければ、いざ災害時にも重要な機能を果たすことは、東日本大震災や大雪災害のときにも証明されてきました。
 「たくさん保険料を集めて、サービスを手厚くする」という選択をとるのか、「自分たちでできることは行い、保険料を低く抑えよう」とするのかは、地域の意志にゆだねられているのです。