「仮面高血圧」の仮面を剥ぐには?(2006年2月4日)

「「仮面高血圧」の仮面を剥ぐには?」

           あいち健康の森健康科学総合センター長 富永祐民

 2月は最も寒く、血圧が上がりやすい時期です。寒い時には体温を失わない
ように皮膚の末梢血管を収縮させて血液循環を低下させます。末梢血管が収縮
すると血管抵抗が大きくなり、血圧が高くなります。「寒冷昇圧試験」といっ
て、氷水に手首を浸けてどれくらい血圧が上がるかを測定する検査法もありま
す。この方法で検査すると、個人差はありますが平均して10ミリから20ミ
リくらい血圧が上昇します。したがって、冬の寒い時期に主婦が冷水で野菜を
洗ったり、食器を洗ったりすると血圧が上昇してしまいます。

 特に高血圧の人は要注意です。食洗機が無くても、水温が低下する冬はぬる
ま湯で食器を洗うようにしたいものです。トイレや脱衣場の温度が低い場合、
または暖かい室内から寒い戸外へ出る時も要注意です。血圧は1日24時間の
間でもかなり変動します。筆者が以前に1日に20-30回血圧を測定しまし
たところ、日中仕事をしている時には最高血圧は130-140ミリくらいに
なっていましたが、帰宅して入浴すると血管が拡張し、血圧は100ミリ以下
にまで下がっていました。夕食後にテレビを見ながらリラックスした状態で血
圧をはかるとだいたい120ミリ前後になっていました。

 以前に「白衣高血圧」が話題になりましたが、これは普段の血圧は高くない
のに、白衣を着た医師や看護師の前では緊張して一過性に血圧が高くなるとい
うものです。最近は逆に「仮面高血圧」が話題になっています。仮面高血圧は
白衣高血圧とは逆に、医療機関で測定してもらった時には正常血圧なのに、朝
起きた時や夜間に測定すると血圧が高くなっているような場合です。このよう
に本当は高血圧であるのに医師の前では正常血圧の仮面を被っているように見
える高血圧なので、”仮面”高血圧と呼ばれるのです。血圧が高くなっている
時間により、「早朝高血圧」、「夜間高血圧」、「持続性高血圧」などと呼ば
れています。

 東北地方で行われた高血圧に関する疫学研究(大迫研究)から、医療機関で
測定された血圧よりも家庭血圧が重要であること、特に早朝高血圧が脳卒中な
どの循環器疾患の発生に密接に関わっていることが明らかにされました。早朝
高血圧の定義としては、早朝と就寝時の収縮期血圧(最高血圧)の平均値が1
35ミリ以上で、早朝時の血圧が就寝時の血圧より15-20ミリ以上高い場
合を指し、朝夕の差が15ミリ以下なら「持続性高血圧」とされます。

 「仮面高血圧」は本当は高血圧なのに、医療機関で測ってもらった時には正
常血圧になっている場合を指しますが、これには2種類あります。本来の仮面
高血圧は降圧剤を飲んでいない場合で、医療機関で測定してもらった時は正常
血圧であるのに、早朝や夜間、または仕事中に血圧が上昇しているものを指し
ますが、降圧剤を服用しているために血圧が正常化している場合も一種の仮面
高血圧と言えます。この場合は朝降圧剤を飲む前の血圧は高く、降圧剤を飲ん
だ後では血圧は低下します。
 
 仮面高血圧の仮面を剥ぐのは簡単です。医療機関や検診時に血圧を測定した
時には正常で、家庭で朝か夜に血圧を測った場合に高血圧になっていることを
確かめればよいのです。血圧計は1万円前後で購入することができますから、
家庭でも血圧計を常備することをお勧めします。筆者は手首で測る血圧計を購
入して愛用しています。これなら散歩しながらでも、入浴中でも測定できます。
いろいろな時間帯(朝、昼、夜)やいろいろな状態(入浴前後、運動前後など)
で血圧を測定してみると、どのような時にどれくらい血圧が上下するか、“素
顔の血圧”がわかります。