野菜食べて あと1000歩 歩こう(2006年4月15日)

「野菜食べて あと1000歩 歩こう」

           健康科学総合センター長 富永祐民
 
2006年4月5日の中日新聞の朝刊に、「県内在住20-60代男性 4人に1人肥
満、野菜食べて あと1000歩 歩こう、 健康日本21あいち計画」という見出
しでイラスト付きの記事が掲載されていました。これは去る3月末にまとめ
られた健康日本21あいち計画の中間評価結果を紹介した記事です。お世辞
抜きで実に上手な記事であり、この記事を書かれた新聞記者に脱帽しました。
私どもが記事を書くと、恐らく「健康日本21あいち計画の中間評価結果の
概要」などの見出しで、記事の本文に、中年以降の男性の肥満者が増えてい
ること、歩行数が減っていること、野菜摂取量が以前に比べて増加しておら
ず、もっと摂取する必要があることなどを羅列していたと思います。しかし、
このような書き方では注目されません。新聞記事では内容の概略とポイント
がわかる見出しに加えて、中年男性が「あと1000歩・・」と言いながら必死
に歩いており、もう1人の男性が大きな口をあけて、片手でニンジンをつま
み、もう一方の手でフォークにピーマンを突き刺して口へ運び、キャベツや
トマトが盛られた皿を前において「野菜を!」と言いながら食べているカラ
ーのイラストが付いており、広報(コミュニケーション)の極意を教えられ
た気がしました。

 「健康日本21あいち計画」は平成11年度に厚生労働省が策定した「健
康日本21計画」に引き続き、愛知県の地域特性も考慮して平成12年度に
策定されました。健康日本21計画は10年計画で、生活習慣(栄養・食生
活、身体活動・運動、休養・心の健康づくり、たばこ、アルコールの5項目)
と生活習慣病(歯の病気、糖尿病、循環器疾患、がんの4疾患)の予防に関
して具体的な数値目標を定め、5年を経過した平成17年度に中間評価を行
っています。

 厚生労働省の健康日本21では9分野で延べ70項目ありましたが、あい
ち計画では愛知県独自の項目を加えましたので、延べ89項目に達しました。
これに健やか親子の25項目を加えると114項目にもなっています。これ
ではあまりに項目数が多く、めりはりのついた対策が立てられませんので、
中間評価に際し、21項目の重点項目を選定しました(健やか親子でも2項
目の重点目標を選定しているので、合計23の重点項目)。これらの項目に
ついてあいち計画策定時と中間評価時の結果を比較すると、いくつかの項目
ではすでに10年目の最終目標を達成しているか、順調に改善していました
が、改善はおろか悪化している項目がいくつかありました。特に目立ったの
は中年以降の男性の肥満と歩行数の減少、野菜摂取の減少などでした。その
ため、これらの悪化している項目が新聞記事の見出しになったのです。

 健康日本21あいち計画の中間評価ではすでに10年後の最終目標を達成
しているものもありましたので、これらについてはさらにハードルを高くし
た新目標値を設定しています。また、健康日本21計画および健康日本21
あいち計画策定時にはたばこ業界の強い要望により、「成人の喫煙率半減」
の目玉指標が撤回されてしまいました。しかし、その後健康増進法(平成1
5年5月)が施行され、たばこ規制枠組み条約(平成17年2月)も発効し、
たばこをめぐる社会環境は大きく変わってきました。そこで、愛知県では健
康日本21あいち計画の中間評価に際して「成人の喫煙率半減」が新規項目
として追加されました。これは新聞記事では紹介されていませんが、画期的
なことなのです。厚生労働省におきましても健康日本21の中間評価に際し
て喫煙率の半減(または適当は数値目標)を追加する動きがありますが、ま
だ決定していません。「成人の喫煙率半減」に関しては愛知県が国をリード
する形になっています。しかし、この目標を達成するためにはかなり強力に
たばこ対策を進める必要があります。