大豆イソフラボンの過剰摂取に警告(2006年5月2日)

「大豆イソフラボンの過剰摂取に警告」

   あいち健康の森健康科学総合センター長 富永祐民

 大豆は貴重な植物性タンパク源で、代表的な健康食品の一つです。大豆には
ダイジン、ゲニスティンなどの植物性女性ホルモンが含まれており、乳がんと
前立腺がんの予防に役立っているとみられています。大豆にはその他、多量の
イソフラボンも含まれています。抗酸化物質として、ポリフェノール、フラボ
ノイド、イソフラボンなど、いろいろな言葉が登場していますが、「イソフラ
ボン」はフラボノイド類の一種です。「ポリフェノール」はフラボノイド類と
非フラボノイド類の総称なのです。

 赤ワインには抗酸化作用が強いポリフェノールが多量に含まれていますが、
化学物質としては緑茶やココアなどにも含まれている「カテキン」であり、イ
ソフラボンと同様にフラボノイド類に属する化学物質です。一方、紅茶、ウー
ロン茶、渋柿などに含まれている苦味のある化学物質は「タンニン」で、これ
は非フラボノイド類に属しています。他にもフラボノイド類、非フラボノイド
類に属する多種類の抗酸化物質があります。要はいろいろな抗酸化物質があり
ますから、特定の抗酸化物質を摂りすぎないように気を付つける必要がありま
す。

 食品安全委員会では平成16年に厚生労働省から申請のあった大豆イソフラボ
ン添加食品の安全性を新開発食品専門調査会で評価してきましたが、平成18年
2月20日に日常の食事と別に摂取するイソフラボンの上限を30ミリグラムとし、
「マルコメ」が特定保健用食品(特保)の表示許可を申請していた「イソフラ
ボン添加みそ」については、過剰摂取になる危険性があり、「十分な安全性が
確保されるとは言いがたい」として、表示許可を認めないという結論を下しま
した。

 しかし、他の2社が申請していたイソフラボン製剤については、「妊婦と妊
娠の可能性がある女性、小児の摂取は推奨できないが、その他の人では安全性
に問題はない」という結論を下しています。ここでなぜ、イソフラボン添加み
そに待ったがかかったかといいますと、イソフラボン添加みそを使ったみそ汁
を1日に2杯飲むと、通常の食事より42ミリグラム多く摂取することになり、
日常の食事と別に摂取するイソフラボンの上限の30ミリグラムを超えてしまう
からです。

 他の抗酸化物質と異なり、大豆イソフラボンの過剰摂取に敏感になっている
のは、大豆イソフラボンの主成分はダイジン、ゲニスティンなどの植物性女性
ホルモンであるからです。女性ホルモンは乳がんの予防、骨粗鬆症の予防作用
があるため、女性が飛びつく可能性が大きいのですが、あまり多量に女性ホル
モン作用のある物質を摂取すると、女性ホルモンのバランスを崩してしまう可
能性や副作用が出てくる可能性があります。
 
 食品安全委員会の同調査会では通常の食品と健康食品を合わせた摂取の目安
量を1日70-75ミリグラムとしていますが、納豆、豆腐、煮豆などの大豆製品を
好んで食べる人では、食品からだけでも1日70-75ミリグラムを摂取している可
能性があり、健康食品として余分に摂取することに警告をしている訳です。こ
こで、男性に対する大豆イソフラボンの性ホルモン作用は未知数で、今後の研
究を待つ必要があります。

 大豆イソフラボンの主成分は植物性女性ホルモンですから、中高年以上の男
性には前立腺がんの予防効果があるかもしれませんが、若い男性に対しては精
子形成能力、受精能力に影響する可能性も否定できません。