2022/8/09

研究・報告書

あいち健康プラザに関係する、研究・学会発表等をご紹介します。

「背景」
日本老年医学会によると、フレイル(Frailty)とは、「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念」と提言されています。さらに、身体的なフレイルと認知機能低下が重なると、正常または、単独の場合に比べて、認知症の発症リスクが高かったとの報告がされており、早期からのフレイル、認知症予防を行うことは、認知症や介護状態を遅延させる可能性があります。

「目的」
本事業ではフレイル予防を目的とし、①「後期高齢者健康度評価」における認知機能評価の1次スクリーニングとしての検証、②運動の実践が認知機能に与える効果の検証、③新しい生活様式に即した運動・健康支援プログラム開発の3題を実施しました。
なお、本研究は、愛知県からの委託を受け「あいちオレンジタウン構想事業第2期」の一環として実施しました。
「学会発表」
・令和4年度愛知県公衆衛生研究会
 「通いの場に参加する後期高齢者の健康度評価と認知機能について」(知事表彰)
・令和5年度愛知県公衆衛生研究会
 「通いの場に集う後期高齢者における認知機能低下と体力との関係」

「背景」
生活習慣病予防には、就職以降の急激な体重増加・肥満に繋がりやすい20歳、30歳代からの生活習慣改善が有効であるが、現行の制度ではこれらの若年層の労働者は保健指導の機会が少なくなりがちであると考えられる。先行研究においても、特定保健指導に関連した介入研究の報告は散見されるが、若年層を対象としたものはほとんどない。医療保険者や事業所の保健指導従事者には、若年労働者の特徴を踏まえた、行動変容につながる保健指導の展開が求められる。

「目的」
若年層における将来のメタボリックシンドローム発症予防および40歳以降の特定保健指導対象者数の抑制に向けて、事業所で実現可能な若年肥満対策プロジェクトを開発する。
「学会発表」
・令和4年度愛知県公衆衛生研究会
 「若年労働者の生活習慣病予防に向けた健康支援プログラムの実現可能性の検討(第1報)」
・令和5年度愛知県公衆衛生研究会
 「若年労働者を対象とした健康支援プログラムの社会実装に向けたインタビュー調査」

「背景」
睡眠は、全ての年代において健康へ重要な影響を及ぼしますが、子どもの睡眠は成長期における健全な心身の発達のために重要です。子どもの睡眠不足は、肥満リスクが高くなること、抑うつ傾向が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感やQOLが低下することが報告されています。子どもの心身の健康のために、行動変容を促進させる睡眠教育は非常に重要であり、学校が実施しやすいように簡潔にすることも課題となっています。

「目的」
学校で実施可能な睡眠教育プログラムを検討し効果検証をすること及び開発した睡眠教育プログラムの普及を図ることを目的としました。
 
「学会発表」
・第30回日本健康教育学会学術大会
「小学生の生活習慣の実態及び睡眠教育の効果検証」(優秀賞受賞)
・日本学校保健学会第68回学術大会
「小学校高学年におけるSocialjetlagによる生活習慣の特徴比較」
・日本学校保健学会第69回学術大会
「小学校高学年を対象とした睡眠教育プログラムの有効性の検討」
・令和5年度愛知県公衆衛生研究会
 「睡眠教育プログラムの効果検証」(知事表彰)

「背景」
維持期心臓リハビリテーションは生活の一部に取り込まれることが望ましいとされ、その実践場所には地域の運動施設が示されています。維持期心臓リハビリテーションの必要性は高まってきていると考えられるが、これまで、運動施設が維持期心臓リハビリテーションの受け入れ方法や運動プログラムについて検討した報告は殆どみられない。

「目的」
運動施設と医療機関との連携体制を新たに構築し、今後、心疾患保有者が安心して安全に運動できる方法を検討することを目的としました。
「学会発表」
・第23回日本体力医学会東海地方会学術集会
「あいち健康の森健康科学総合センターにおける心疾患保有者の運動実践状況調査」(学術奨励賞)
・第25回日本体力医学会東海地方会学術集会
「地域の医療機関と連携した運動施設における 維持期心臓リハビリテーションプログラムの検討」
・第30回臨床スポーツ医学会学術総会
「あいち健康の森健康科学総合センターにおける心疾患保有者の運動実践状況調査」

「背景」
新しくスタートした小・中学校の新学習指導要領においても、子どもの「豊かな心」や「健やかな体」の育成が改訂のポイントとしてあげられている。その一方で、貧困や経済格差、教育格差による子どもの健康への影響も問題視されています。
 
「目的」
子どもが生涯にわたって健康な生活を送っていくために、健康課題の把握とその改善に向けた健康教育プログラムを作成し、プログラム実施後の効果を検討する。また、効果的な健康教育の波及に向けて、学校や家庭での取り組みや連携について検討することを目的とします。
「学会発表」
・第79回 日本公衆衛生学会
「学校教員(養護教諭・保健主事)を対象とした子どもの健康課題に関する意識調査」