がんにかからないような食事はありますか?(2008/11/5)

「がんにかからないような食事はありますか?」

          健康科学総合センターセンター長 高橋利忠 
 
 がん発生の3大要因は喫煙、感染と食事と言われておりますが、喫煙と感染
に関してはその危険度も高い場合が多く、細部にわたり検討が進められていま
す。一方、食事に関しては、全体としてみると消化器系のがんでは比較的大き
な要因となっていますが、単独の要素ではあまり危険度が高くなく、その上色々
な要素が複雑に関係しているため、分析は容易ではありません。また、それぞ
れの国、民族等により食習慣は大きく異なるため、残念ながら外国での研究結
果を直ちに日本人に当てはめることは出来ません。しかし、基本的なところで
は勿論共通性があり、大いに参考になるわけです。

 以前、運動や肥満とがんとの関連に関し、世界癌研究基金(WCRF)と米国
癌研究財団(AICR)が共同して2007年まとめた報告書に基づき紹介いたし
ましたが、食事に関しても詳細に検討されており、さらに、その結果に基づき、
がん予防にむけた食事の基本が紹介されていますので、皆様方にぜひ参考
にしていただきたいと思います。

・動物性の食物に関しては、牛肉、豚肉等の赤みの肉は一週間に500g以下
 にし、塩漬け、燻製等で加工された肉は出来るだけ少なく摂取すること。
・植物性の食物に関しては、野菜または果物を合計400g(野菜1皿約70g、
 果物1個約100g)、毎日摂取するように。また、(加工してない)穀類や豆
 類を、毎食摂取するように。そして、加工した澱粉で作られた食べ物の摂取
 を少なくすること。
・体重増加を導く食物や飲み物に関しては、高カロリーの食事をできるだけ避
 けること。また、コンビニ弁当等のいわゆるファーストフードを出来るだけ食
 べないこと。そして、砂糖が入っている飲み物を飲まないこと。
・保存や加工に関しては、塩を使用しない保存方法を選択すること。また、塩
 付けや塩辛い食物を避けること。一日の食塩摂取量を6g以内にすること。
・がん予防を目的にしたサプリメントの摂取はしないこと。

 食塩摂取量は一日6g以内にすること、となっておりますが、米飯を中心とし
た日本食では、塩分の摂取が多くなりがちです。ちなみに平成18年の国民
健康・栄養調査では男性12.2g、女性10.5gとなっています。過剰な塩分
摂取は胃がんの危険要因の一つであることが知られており、また高血圧症等
との関連も深く、平成17年の食事摂取基準によりますと、男性10g未満、女
性8g未満を目標としています。

 また、平成12年の健康日本21計画では野菜摂取量の目標を350g以上
としていますが、平成18年の調査では303.4gであり、十分量ではありま
せん。そこで“5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)”と呼ばれる運動
(http://www.5aday.net)が行われていますが、上記の野菜と果物の合計40
0gより多い“1日に5皿(350g)以上の野菜とともに200g以上の果物を食
べる”ことを目標としています。
 ちなみに現在当センターの名誉センター長であられる富永祐民先生がファ
イブ・ア・デイ協会の会長を務めておられます。