「健康寿命」の定義と延伸の必要性(2004/12/1)

   「「健康寿命」の定義と延伸の必要性」

           あいち健康の森健康科学総合センター長 富永祐民

 日本人の平均寿命は世界でもトップクラスで、男性では78.4歳、女性では
85.3歳となっている。しかし、これは寝たきりや痴呆など、日常生活の支援や
介護を要する期間も含まれている。本当に意味があるのは健康な状態での寿命
(健康寿命)の長さである。

 「健康寿命」の定義はいろいろあるが(省略)、「一生涯(平均寿命)の内、
日常生活で支援や介護を要しない、自立して生活できる期間」とするのがわか
りやすい。この定義に従って計算すると、日本人の健康寿命は、男性では72.4
年、女性では77.7年である。平均寿命と健康寿命の差は自立した生活が営めず、
日常生活で支援または介護を要する非自立期間であり、男性では6.1年、女性
では7.6年となっている。

 せっかく長生きしても、日常生活に支障があり、外出もままならず、支援や
介護を要する状態では本人のQOL(生活の質、生命の質)も低く、人生を有
意義に過ごすことができない。本人が不都合、不本意であるばかりか、家族や
社会にも迷惑がかかり、介護費用、医療費も増大する。

 わが国では急速に高齢化が進んでおり、高齢・超高齢人口が増加している。
このため、医療費や介護費も年々増加しており、要支援・要介護状態を予防す
るか、大幅に送らせる必要がある。厚生労働省の「健康日本21」はまさに健
康寿命を延伸し、要支援・要介護状態を予防し、QOLの向上、介護費・医療
費を節約するための包括的な具体策であるといえる。

 私事になるが、2年前に満88歳の義母が心筋梗塞で亡くなった。心筋梗塞の
軽い発作が起こるまで、毎日家事をこなし、定期的に散歩し、時にはお寺参り
もして元気に暮らしていた。大病院のCCUに入院し、家族や見舞いに駆けつ
け子どもや孫らとも話をして、"お別れを済ませ"、数日後に血圧が低下して意
識がなくなり、苦しまずに亡くなった。義母の健康寿命は全生涯の99.9%であ
り、まさにPPK(ピン・ピン・コロリ)の模範的な生涯であった。