食生活のしつけは乳幼児期から(2005/1/2)

       「食生活のしつけは乳幼児期から」

           あいち健康の森健康科学総合センター長 富永祐民

 食生活は健康づくりと生活習慣病の予防で重要な位置を占めている。生活習
慣、特に食べ物の好みは幼児期に決まってしまうと言われている。したがって、
健康的な食習慣のしつけは幼児期から始める必要がある。

 わが家の子育ての経験からもそのことがうかがわれた。幼児期にチョコレー
トなど、甘いものを与え続けた長女は成長してからも甘いものを好み、結果的
に虫歯がたくさんできてしまった。これに懲りて次女には幼児期から甘いもの
をほとんど与えなかった。その結果、虫歯は1本もできず、成長してからでも
甘過ぎるものは敬遠している。

 筆者は三十数年前に数年間米国に留学し、その間に4人の娘(下の2人は米
国生まれ)を育てた。米国でハンバーグやフライドチキンなどを食べて育った
娘らは帰国後もアメリカ風の食事を好み、魚の刺身や柿などは敬遠した。アメ
リカ生まれながら幼児期を日本で過ごした4女は刺身や柿を好んで食べた。

 約30年前のことであるが、米国の著明な疫学者から「日本人の平均寿命が
アメリカ人より長いのは離乳食から差が出ているのではないかと思うので、日
本の離乳食の実態を知らせてほしい」という依頼があった。そこで、当時の厚
生省の母子衛生課と健康増進栄養課の担当者にわが国の離乳食の実態調査結果
についてたずねたところ、乳児期の母乳・人工栄養・混合栄養の分布に関する
データや離乳食に関する指針はあるが、離乳食の実態調査結果はないというこ
とであった(国民栄養調査でも離乳食は無視されている)。

 米国滞在中に離乳期を過ごした3人の娘は米国流の離乳食で育てた。米国流
の離乳食というのは瓶詰めのペースト状のものである。離乳食の瓶詰めは10
種類以上あったが、栄養調査をするとすれば各種の瓶詰めの離乳食の栄養成分
を測定しておき、それぞれの離乳食の瓶を一日に何個与えるか調べれば簡単に
離乳食の栄養調査ができてしまう。

 また、ペースト状の離乳食はスプーンで口へ入れてやると噛まずに呑み込ん
でしまうので、子どもの顎の成長が遅れ、歯並びも悪くなってしまう。日本で
もペースト状の離乳食が売られているが、やはり少し固いものも与え、乳幼児
期からよく噛む習慣を付けた方が顎の成長、噛む習慣を身につけるためにもよ
いのではないかと考えられる。

 余談であるが、米国滞在中にポトマック河で魚釣りをしていた米国人に「何
を餌にしているのか」とたずねたところ、「パンくずにシナモンを混ぜたもの
を使っている」と答えた。この時ふと「親も親の好みで子どもに離乳食を与え
るのではないか」と思った。